K10statでAthlon II X4 645の電圧下げに挑戦

K10世代のAMD製CPU用の電圧制御ツールであるK10statを使って、自作PCAthlon II X4 645の電圧下げに挑戦しました。以下その記録です。

今回用いたPC環境

今回電圧下げに挑戦したのは4年ほど前に組んで最近CPUを載せ替えたPCです。以下のような構成・設定になっています。

今回用いたAthlon II X4 645の刻印はADX645WFK42GM NADHC AD 1035FPAWでした(下の写真参照)。

Athlon II X4 645 (ADX645WFK42GM NADHC AD 1035FPAW)
Athlon II X4 645

結果

K10statで表示されたAthlon II X4 645の初期設定は以下の通りでした。

クロック 電圧
P0 3100MHz 1.3750V
P1 2400MHz 1.2750V
P2 1900MHz 1.1750V
P3 800MHz 1.1500V

まず、K10statでクロックと電圧を固定してPrime95で負荷を掛ける負荷試験をしました。負荷試験では4コアとも同クロック同電圧で固定し、9時間連続して負荷を掛け(ただし3100MHzは発熱が多く熱暴走が怖いので3時間)、再起動がかかったりPrime95でエラーが出たりしなければ可としました。以下、負荷試験の結果です。

クロック 電圧 負荷試験の結果
800MHz 0.8500V
800MHz 0.8000V ×
800MHz 0.8250V ×
1200MHz 0.8500V ×
1000MHz 0.8500V
1900MHz 0.9500V
1900MHz 0.9000V
2400MHz 1.0250V ×
2400MHz 1.0500V
3100MHz 1.2500V ×
3100MHz 1.2750V ×
3100MHz 1.3000V ×
3100MHz 1.3250V

結果を簡潔にまとめると低クロックでの低電圧耐性は優れているが、高クロックでの低電圧耐性は低いといったところでしょうか。
低電圧側は0.85Vが下限値でした。これはCPUの限界というよりもマザーボードの限界という感じがしています。最近のマザーボードではCPUとノースブリッジ(NB)の電圧を別々に設定できるようですが、M2A-VM HDMIは古いマザーボードなのでCPUとNBの電圧を別々に変更できません。ですので、CPUの電圧を下げると必然的にチップセット側の電圧も下がってしまいます。以前CrystalCPUIDでAthlon 64 X2 4000+の電圧を下げたときも0.85Vが下限でしたし、このマザーボードではこのあたりが限界なのでしょう。ネット上では同世代のCPUでもっと電圧を下げられるという報告もあるので、CPU側だけなら更に電圧を下げられるのかもしれません。
1900MHz、2400MHzでは初期設定から0.20V以上電圧を下げることが出来ました。特に1900MHz、0.90Vで負荷試験をパスしたのは期待以上でした。
しかし、対照的に高クロック側はほとんど電圧を下げられず残念な結果となりました。3100MHz、1.3000V以下の負荷試験ではいずれも1時間以内に再起動がかかってしまうという結果でした。熱暴走の可能性も考えたのですが、1.3250Vの設定ではCPU温度が70度前後になりながらも3時間以上耐えましたし、再起動がかかったときはもっと低い温度だったので熱暴走ではなさそうだと判断しています。

さて、上記の結果を踏まえて今は以下の設定で運用中です。

クロック 電圧
P0 3100MHz 1.3250V
P1 2400MHz 1.1000V
P2 1900MHz 0.9500V
P3 1000MHz 0.8500V

その他の設定はシングルコアの性能も重視したいのでClkCtrlは1、up%を低めという設定にして運用しています。この設定だと重い作業をするとすぐにクロックと電圧が上がるのですが、それでもネットを見たりといった軽い作業ではほとんどの時間P3かP2での運用となり、それなりの節電にはなっていると思われます。

最後に上記の設定で運用中のCPU-Zスクリーンショットものせておきます。K10statでの設定値よりも若干電圧の読みが高めに出ているようです。

上記設定で運用中のCPU-Zのスクリーンショット

ご意見・ご感想は↓のTwitterのボタンまたはコメント欄からどうぞ。