実機でAtom Z540のEISTの挙動を調査してみた
我が家のVAIO type Pに搭載されているAtom Z540は、ちょっとした作業をこなすだけでも力不足だと感じてしまうことがあるやや非力なCPUです。その一方で、Youtubeの動画再生などで長時間負荷が掛かり続けると熱で強制的にクロックダウンしてしまうこともあるという困ったCPUでもあります。
そこでこのCPUをより深く理解し、フルに使いこなすことを目的として色々と調査してみました。
まず、Atom Z540の仕様をおさらいしておきましょう。Atom Z540の大まかな仕様は以下の表の様になっています。データはIntelのWebサイトにあったものを参考にしました(Z540の概要(英語)、データシート(英語、PDF))。
FSB | 533 MHz |
動作クロック | 1.86 GHz (133 MHz x 14.0) |
コア数 | 1 |
L2キャッシュ | 512 KB |
TDP | 2.4 W (HT時2.64 W) |
Hyper-Threading | ○ |
VT-x | ○ |
64 bit | × |
EIST | ○ |
FSBが533 MHzなのでベースクロックはその1/4の133 MHz、定格時の倍率は14倍となっています。EIST対応なので低負荷時には倍率が6倍まで下がり、その時の動作クロックは133 MHz x 6の800 MHzとなると予想されます。
そこで、次にVAIO type Pの実機でEISTが有効となる設定であることを確認し、CPUの情報を調べるツールで実際にクロックがどう変化しているのかを調べてみました。使ったのはCore Temp 0.99.5とCPU-Z 1.54の2種で、どちらのツールでもクロックと電圧の読みはほぼ一致していました。ただ、Core Tempの方がより短時間のクロックの変化も検出できる感じでした。なお、CrystalCPUIDではクロックの変化は確認できませんでした。これはCrystalCPUIDがAtomに対応していないためだと思われます。
VAIO type PのZ540の場合、アイドル時はほとんどの時間で800 MHzとなり、カーソルを動かしてディスプレイの再描画の負荷が掛かると一気にクロックが上昇するなど、負荷に応じて目まぐるしくクロックが変化するのが確認できました。更にクロックの変化を注意深く観察していると、倍率が6倍から14倍まで2倍刻みで動的に変化しているのが確認できました。ただし、12倍は持続時間が短すぎるためか、Core Tempでしか確認できませんでした。
それぞれの倍率における電圧は下の表のようでした。
倍率 | 動作クロック | 電圧 |
---|---|---|
x 6 | 800 MHz | 0.8500 V |
x 8 | 1066 MHz | 0.9000 V |
x 10 | 1333 MHz | 0.9500 V |
x 12 | 1600 MHz | 1.0000 V |
x 14 | 1866 MHz | 1.0375 V |
Z530やZ550ではどんな感じなんでしょうか。気になるところではあります。