自転車のベルに関するルールとマナー

自転車のベルは他の歩行者や車両にこちらの存在や危険を知らせるために必要な物ですが、時々使い方を間違っている人を見かけます。そこで今回は自転車のベルに関するルールについてまとめてみました*1

自転車にベルは付けなければならない?

シティサイクル軽快車、いわゆるママチャリ)には初めからベルが付いていますが、スポーツ用の自転車にはついていないものも多いですね。スポーツ用の自転車にもベルは付けるべきなのでしょうか。

結論から言うと、都道府県ごとに規定が異なるので一概には言えないものの、ルール上装着が義務づけられていることが多いです。

自転車のベルは道路交通法上の警音器に当たりますが、実は道路交通法本体には自転車(三輪自転車、側車付の二輪自転車を除く*2)の警音器の装着に関する規定はありません。しかし、ほとんどの都道府県*3はこれを補う形で道路交通法第71条第6号の「公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」として道路交通法施行細則/道路交通規則で警音器に関する規定を定めています*4。具体的な条文は都道府県によって異なるのですが、「有効な性能の警音器を備えていない自転車を運転しないこと」というような規定を設けている都道府県が多いです。このような規定のある都道府県では警音器を装着していない自転車を運転すると道路交通法違反となります。
また、このような規定のない県でも、以下の警音器の使い方に関するルールを守るためにベルを装着しておいた方が良いでしょう

ベルの使い方に関するルールは?

道路交通法では第54条の第1項で以下のように警告鳴らせ、警告区間の標識がある場所で警音器を鳴らす義務を定めています。

車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一  左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二  山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。

道路交通法第54条第1項

いずれの標識も都会ではほとんど見かけないので都会で乗る分にはこの規定をあまり意識する必要は無いと思いますが、これらの標識がどこにあるか分からない以上、この規定に対応できるように警音器を付けておくに越したことはないでしょう*5
さらに、道路交通法第54条第2項には以下の規定があり、警音器の無闇な使用を禁止しています。

2  車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。

道路交通法第54条第2項

たまに歩道でベルをチリンチリン鳴らして歩行者を蹴散らしながら走っている自転車がいますが、この条文を読めば分かるように歩行者を退かすためにベルを鳴らすのはルール違反です。歩道は歩行者優先ですよ。

以上まとめると、標識のある場所では標識に従ってベルを鳴らさなければならず、それ以外の場合は危険を避けるためやむを得ない場合を除きベルを鳴らしてはいけないというのがベルの使用に関するルールです。街中には警笛関連の標識は滅多にないですし、自転車の場合はブレーキをかけたり避けたりすれば大抵の危険は回避できる(つまりやむを得ない場合ではない)ということを考えると、街中では基本的にはベルを鳴らしてはいけないという理解で問題ないと思います。

*1:この記事の内容は執筆時点の法規に基づいて記載しています。実際の走行時はその時点での法規に従ってください。

*2:三輪自転車、側車付の二輪自転車は道路交通法第62条及び道路運送車両法第45条の規定により適当な音響を発する警音器の装着が義務づけられています。

*3:本記事執筆時点で警音器に関する規定がないのは青森県宮城県静岡県、愛知県、佐賀県です。

*4:実際の走行にあたっては、走行する都道府県の条文を確認してください。道路交通法施行細則/道路交通規則は各都道府県の例規集/法例集から警察>交通とたどると見つかることが多いです。

*5:自転車のベルを鳴らしたところで周囲の自動車の運転者に聞こえる保証はなく実効性には疑問が残りますが…。